社会のグローバリゼーション化に伴い、英語が国際的コミュニケーション言語として重視されるようになりました。2011年には小学5~6年生の外国語活動が導入され、小学校からの英語教育が始まっています。しかし、現在も小学校での英語教育の在り方や早期開始の有効性などが議論されています。今回は小学校における英語教育のメリット及びデメリットについてご説明します。
【メリット1】「臨界期」を過ぎる前に英語を学べる
小学校の英語教育では歌やゲームなどを通じて「音」から親しむことにより、会話や文化に親しむことを主眼としています。
英語教育における1番のメリットは早くから英語に親しむことができることです。では、なぜ早くから英語の学習を始めることが必要なのでしょうか。
それは「臨界期」の存在が関係しています。言語習得が最も効果的な時期の限界を臨界期と呼びます。早期教育が奨励される理由はこの臨界期が関係しています。諸説ありますが、米国の神経生理学者レネバーグは臨界期を12~13歳としました。この時期を過ぎた場合、幼児のようにスムーズに言語を学ぶことはできないと言われています。12~13歳と言えばちょうど中学生に当たります。したがって、まだ臨界期を過ぎていない小学校5~6年生に英語の教育をすることは理にかなっていると言えるでしょう。
語彙力、文法能力は思春期以降も伸ばすことは可能です。しかし、発音については臨界期を過ぎる前に学ぶことにより、ネイティブ並みの発音を獲得することができます。小さい頃英語圏で過ごした方の発音がきれいである理由は、臨界期を過ぎる前に大量の英語のシャワーを浴びたことが要因の1つです。
【メリット2】英語の学習時間を増やせる
もう1つのメリットは早期から英語の勉強を開始することにより、英語の学習時間を増やせることです。
語学の学習に必要な時間を示したデータがForeign Service Instituteの『外国語の研修成果と学習時間に関する資料』です。これによると、米国国務省の研修生が日常生活レベル言葉を身に付けるまでの時間は以下の通りです。
グループ1:フランス語、ドイツ語、スペイン語など…480時間
グループ2:ギリシャ語、ヒンズー語、インドネシア語など…720時間
グループ3:ロシア語、ヘブライ語、トルコ語など…1,320時間
グループ4:日本語、中国語、朝鮮語、アラビア語…2,400~2,760時間
ここで、グループ1が最も英語に近い言語、グループ4が最も英語に遠い言語です。このデータから日本語のネイティブスピーカーが英語を使えるようになるためには、少なくとも約2,400時間と言えるでしょう。しかし、ここで挙げられている数字はエリートである米国国務省の研修生を対象としているため、平均的な日本人が英語を話せるようになるためにはもっと時間が必要でしょう。
【デメリット】日本語習得に影響がある?
早期英語教育の数多くのメリットが存在する一方、デメリットも指摘されています。デメリットの1つは、英語の学習に時間を費やす分、日本語の学習がおろそかになってしまう可能性があることです。日本で生活する場合、子供時代に日本語の基礎をしっかりと固めることは必要不可欠です。そのため、日本語の勉強を中心に行いながら、毎日一定の時間を英語学習に当てると良いでしょう。
おわりに
今回は小学校における英語教育のメリット及びデメリットについてご紹介しました。近年では観光目的で日本を訪れる外国人は珍しくありません。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、平成26年の1年間に日本を訪れた外国人観光客は1,300万人を超えています。政府の目標は、東京オリンピックが行われる2020年までに外国人観光客を2,000万人にすることです。
ビジネスシーンでもプライベートでも英語を使う機会は今までよりも格段に増えています。そのため、子供のうちから少しずつ英語に親しませることをおすすめします。

スタディ・タウン学び情報局 編集部

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