「中国4千年の歴史」という言葉があるように、中国史は高校世界史の中でも大きな比重を占めています。
また「王朝の歴史」とも呼ばれる中国史には、その名の通り、たくさんの王朝が登場します。そこで今回は、中国史理解に不可欠な「王朝」をテーマに歴史を整理しつつ、各王朝をスムーズに覚えるためのテクニックをご紹介します。
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【概観1】統一と分裂:殷〜魏晋南北朝
中国史では、隋や唐のような帝国ができるまで、「王朝が国土を統一した後、内部から崩壊していく」という歴史が繰り返されてきました。このイメージを持ちながら、まずは南北朝時代まで概観しましょう。
【1】殷
殷は、代表的な遺跡として「殷墟」が挙げられる、実在最古の王朝です。
殷では、王が卜占(ぼくせん)によって行う神権政治が採用されていました。なお、歴史的な観点においては、殷は中国を統一したのではなく、周辺の都市国家の中でも抜きんでて大きな力を持っていたにすぎない、と考えられています。
【2】周
紀元前11世紀頃に殷を滅ぼして成立した周は、封建制を採用しました。
しかし周の力は次第に衰えていき、その結果として春秋戦国時代へ突入します。この時代には、周の権威は形骸化していました。
【3】秦
春秋戦国時代に幕を下ろし、初の中国統一を成し遂げた人物こそが秦の始皇帝です。
秦では中央集権体制である「郡県制」が採用され、同時に統一の事業として文字や貨幣、度量衡の統一が行われました。しかし、事業の多大な負担に農民の不満が爆発した結果、陳勝・呉広の乱が勃発し、秦は滅亡してしまったのです。
【4】漢
秦の後を継いだ王朝が、劉邦率いる漢です。この漢では、秦代の反省から封建制と郡県制の折衷案である郡国制が採用されました。
漢は一度滅ぼされましたが、劉秀によって再建されます。しかし、その後黄巾の乱によって再度滅んでしまいます。
【5】三国
漢の滅亡後、有名な三国志の時代に突入します。漢亡き後の中国で統一の覇権を巡って、魏・呉・蜀がしのぎを削りました。やがて、晋が中国を再度統一します。
【6】魏晋南北朝
中国を統一した晋も、永嘉の乱でモンゴルからの匈奴により滅ぼされ、以降王朝の系統が南北で分裂します。
【概観2】帝国と異民族:隋〜清
南北朝以降は王朝の大きな分裂は少なくなり、安定した時代を迎えます。しかし一方で、モンゴルからの異民族の侵入が深刻な問題となっていました。
そしていつしか異民族は漢民族を圧倒し、自ら王朝を建てて中国を統一します。このイメージを保ちながら、清の時代まで概観しましょう。
【7】隋
南北朝は、文帝率いる隋によって統一されました。
随は中央集権化をはかり、科挙を初めて採用した王朝としても知られています。しかし、隋も運河建設や度重なる軍事遠征の負担に耐えられなくなった農民の反乱によって滅亡しました。
【8】唐
唐は、隋の統治システムを流用して中国を統一しました。
太宗の時代には、律令国家としての体制が整備されました。この時代が中国史の中で全盛期であったと言われています。
しかし、唐は周辺の異民族の統治に苦労しました。また、統治のために各地に配置した節度使に対して、過度な軍事力を持たせたがために、反乱も多発します。次第に唐の権威は失墜していき、最後は黄巣の乱を経て、節度使である朱全忠によって唐は滅ぼされました。
【9】五代十国
唐滅亡後、統一の覇権を巡って各地の節度使が争った時代を「五代十国」と呼びます。
【10】宋
趙匡胤率いる宋が、節度使の戦いに終止符を打ちました。
宋は科挙制度を整備するなど、国の基盤を固めようとしましたが、北方からの異民族の侵入に耐えきれず、南へ後退していきます。侵入した異民族は遼、西夏、金と、「征服王朝」と呼ばれる自らの王朝を建国していき、やがて宋は滅ぼされました。
【11】元
異民族による王朝は、元の時代に中国統一を果たしました。
元王朝の特徴は伝統的な中国の統治システムを採用せず、遊牧民の統治システムを取り入れた点にありました。その結果として不遇の時代を過ごした漢民族官僚の不満が、後に漢民族復興への渇望となり、明朝建国につながります。
【12】明
異民族に圧迫された漢民族の不満は、紅巾の乱で爆発しました。中でもリーダー格にあった朱元璋は、この反乱を機に元をモンゴル高原へと追いやり、明を建国します。
明代では、モンゴルとの争いをはじめとした対外政策が推し進められました。しかし大規模な対外政策は財政を圧迫し、民衆に重税が課されていきます。結果として反乱が各地で発生し、最終的に李自成によって明は滅ぼされました。
【13】清
明の滅亡後、満州族による清朝が李自成を破り、中国統一を成し遂げました。
しかし康熙帝・雍正帝・乾隆帝のもとで隆盛を誇った清も、アヘン戦争や日清戦争を経て弱体化していきます。そして欧米列強がこの弱体化につけ込んで、中国を分割していきます。遂に清は内部から崩壊し、辛亥革命を経て滅びました。
中国王朝の覚え方
ここまで、殷から清に至る王朝について解説しつつ、簡単に中国史を概観しました。
上記の通り、中国史を理解するために押さえるべき王朝は多数に及び、暗記にも苦労がともなうでしょう。
そこで、王朝名を覚える際には、ご紹介してきた王朝に中華民国、中華人民共和国を加え、「もしもしかめよ」の歌にのせ、口ずさんでみることをおすすめします。歌詞をすべて王朝名に置き換えても、不思議とリズムがかわりません。
以下に王朝と歌詞を対応させたものをご紹介します。ぜひ一度、歌ってみてください。
殷、周、秦、漢、三国、晋 (もしもしかめよ、かめさんよ)
南北朝、隋、唐、五大 (せかいのうちにおまえほど)
宋、元、明、清、中華民国 (あゆみののろいやつはない)
中華人民共和国 (どうしてそんなにのろいのか)
いかがでしょうか。聞き慣れた「もしもしかめよ」のメロディーに合わせることにより、言葉がスムーズに頭に入っていきます。ぜひ実践してください。
おわりに
世界史を勉強する上で欠かせない、中国史の流れ、および歴代王朝名の覚え方をご紹介しました。
王朝ごとの重要語句を覚えることももちろん大切ですが、中国史を理解するためには、歴史の大きな流れの中で、各出来事をとらえていく視点も欠かせません。そして、その流れが途切れそうになったときには、「もしもしかめよ」のメロディーを思い出してください。
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スタディ・タウン学び情報局 編集部

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