人間は、飲み物を飲まずに過ごせば喉が渇きます。そして食事をとらなければお腹がすくでしょう。また、暑ければ汗が流れ、寒ければ体が震えます。私たちは、このような体内環境の変化を意識することはなく当然のように過ごしています。
空腹感や汗、そして体の震えといった変化は、時として人間の健康状態を示すサインにもなります。この記事では、生物の体の内部環境を一定に保つ「恒常性の維持(ホメオスタシス)」についてご紹介します。
恒常性の維持(ホメオスタシス)とは
「恒常性の維持(ホメオスタシス)」とは、外部環境の変化に応じて体内環境を正常に保つはたらきを指します。冒頭で述べた通り、人間は暑いと汗をかき、寒いと体が震えます。これは、ホメオスタシスによって体温を一定に保とうとしているためです。
人間の体温は個人差があるもののおおよそ36度で、体温が上がりすぎても下がりすぎても体内の機能に大きな支障が出てしまいます。そのため、ちょうど良い体温を保つために汗をかいて体温を下げたり、体を震わせて体温を上げたりするのです。
私たちが意識的に行動せずとも健康な状態を保つための仕組み、それがホメオスタシスです。
ホメオスタシスは生物に必須のはたらき
ホメオスタシスは、体内環境を調整するために生物の無意識下で常にはたらき続けています。前項でご紹介した外部環境の変化はもちろん、ホメオスタシスは体の状態が変化した場合にも機能します。
例えば、体内に水分が不足している場合には喉の渇きを知らせてくれます。私たちは「何となく喉が渇いた」と思っているかもしれませんが、実際にはホメオスタシスが体の変化を敏感に察知してはたらいているのです。
もしホメオスタシスが機能しない場合、体内環境に応じたサインを出すことができなくなってしまいます。そのような場合、私たちは体の不調といった重大な変化に気づくことができません。ホメオスタシスは生物の生命維持に欠かせないものだと言えます。
自然治癒もホメオスタシスのはたらきの一つです。
自律神経と免疫系、ホルモンの3つが連携し、ホメオスタシスをコントロールすることで自然治癒力を発揮しています。ケガをすれカサブタになり、徐々に傷が消えていきますが、これもホメオスタシスによる自然治癒のはたらきです。
また、「病気で辛い際には、体と病原体が戦っている」という言葉を耳にしたことはありませんか?その言葉通り、病気になれば病原体を消滅させようとする反応が出ます。くしゃみや嘔吐、下痢によって病原体を吐き出そうとしているのです。辛い症状ですが、ホメオスタシスが体内で病原体を消滅させようとはたらいている証拠です。
ホメオスタシスは、生物の健康のために意識と別に毎日休みなく体内ではたらいているのです。
ホメオスタシスを正しく機能させるためには?
時には疲れがなかなか取れず、体が重く感じることもあるでしょう。その原因の一つとして、ホメオスタシスをコントロールする自律神経の乱れが考えられます。疲労は自律神経のバランスを崩し、ホメオスタシスに悪影響を及ぼしてしまうのです。
また、過度なストレスによっても自律神経が乱れてしまうことがあります。自律神経を整え、ホメオスタシスを正しく機能させるためにはリラックスできる環境を作ることが大切だと言えるでしょう。
食事の栄養バランスを考え適度な運動を心掛けるなど、生活習慣を整えることもホメオスタシスを正しく機能させ、活性化させることに役立ちます。
おわりに
ホメオスタシスは、すべての生物に必要不可欠と言える非常に重要なはたらきです。ホメオスタシスが失われてしまうと、生物は生物として生きることができないと言っても過言ではありません。しかし、ホメオスタシスは無意識下で当たり前のように機能しているものです。そのため、人間も普段ホメオスタシスを意識することはあまりないかもしれません。生まれつき備わっているはたらきとはいえ、不摂生などの体に悪影響を及ぼす行為はホメオスタシスの乱れにつながってしまいます。
自らの体調の変化に気づくことができるのは、医者ではなくやはり自分自身です。ホメオスタシスによるサインを受け取り意識することは、健康の維持にとって重要なカギと言えるでしょう。

スタディ・タウン学び情報局 編集部

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