中学校までの数学で扱っていた2次式までの多項式については、たすきがけを使い、因数分解をすることができました。しかし、高校数学の因数分解で扱われる多項式は、2次式にとどまりません。
3次式以上の場合、たすきがけは通用しないため、因数分解の公式を使って解く必要があります。そこで今回は、高校数学における因数分解問題で頻出となる、各種公式をご紹介します。
和と差の3乗公式:(a+b)3、(a-b)3
まずは中学までの復習から始めましょう。和と差の2乗の公式を覚えているでしょうか。
a2+2ab+b2=(a+b)2
a2-2ab+b2=(a-b)2
高校数学の因数分解では2次式のさらに一歩先、「和と差の3乗」の公式を覚えます。
a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3
a3-3a2b+3ab2-b3=(a-b)3
この公式を覚える際の注意点は、マイナスの位置です。2乗の公式とは異なり、マイナスが2か所に出てきます。
最後の「-b3」については、(-b)3と言う形を思い浮かべることができれば、マイナスが付くと容易に想像できるはずです。また、「3a2b」と「3ab2」のどちらにマイナスを付けるのかという点についても、冷静に「b」が奇数の次数の場合、つまり1次と3次の場合にマイナスが付くと覚えてください。
ちなみに、和と差の4乗の公式は以下のような形となります。余力があれば覚えましょう。
a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4=(a+b)4
a4-4ab3+6a2b2-4ab3+b4=(a-b)4
マイナス記号の付け方は、3乗の公式の場合と同様です。(-b)の次数が奇数の場合にマイナスとなることに気を付けてください。
3乗の因数分解:a3+b3、a3-b3
中学数学で覚えた、2乗の差に関する以下の公式を覚えていますか。
a2-b2=(a+b)(a-b)
3次式の場合でも差の公式は存在します。さらに2次式では存在しなかった和の公式も登場します。この2つはあわせて覚えましょう。
a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)
a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)
この2つの公式を覚える際の注意点は3点あります。
第1のポイントは、「a3+b3」の式と「a3-b3」の因数分解式において、一部プラスとマイナスの位置が入れ替わる点です。混乱を避けるために「a3+b3はプラスから、a3-b3はマイナスから始まり、次に出てくる符号は反対である」と覚えましょう。
第2のポイントは、因数分解式にある(a2±ab+b2)を、多くの方が(a2±2ab+b2)と混同してしまう点です。係数に注意して覚えましょう。
また、最後のポイントとして、「(a±b)3」の公式と混同してしまいがちとなる点にも注意が必要です。2つ目の注意点と同様、同じ3次式であることや、「a」と「b」の2項しかない式であることから、間違えて覚えてしまうケースが多いようです。
3つの文字の因数分解:a3+b3+c3-3abc
3つの文字が現れる因数分解についても、たすきがけでは解くことができません。そのため、以下の公式についても、覚えておくと便利です。
a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a2+b2+c2-ab-bc-ca)
形は前項でご紹介した「a3+b3」の公式に似ています。覚えにくい公式であるだけに、因数分解の問題でも頻出となるため、必ず暗記しましょう。また多項式の乗法展開で出てきた「(a+b+c)2=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca」の公式とも混同しないよう、注意してください。
おわりに
高校数学の因数分解で出てくる、たすきがけのできない問題に対する各種公式をご紹介しました。因数分解の公式を扱う際、どうしても符号や係数など、細かい点を忘れてしまいがちです。導いた答えに不安を感じた場合は、その答えを一度展開して検算することをおすすめします。
まずは公式をしっかりと覚え、自在に操れるようになるまで繰り返し問題に取り組んでいきましょう。

スタディ・タウン学び情報局 編集部

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