はじめに
平成27年に厚生労働省から発表された母子家庭の世帯数は123.8万世帯、平均年収は223万円です。多くの母親が、仕事と子育てに苦労しているものと思います。それでも、「子どもを大学に行かせたい」「十分な教育を受けさせてあげたい」と思うのは、親として当然の情ではないでしょうか。しかし、大学進学には多額の費用がかかります。少ない収入でその願いを実現するためにはどうすれば良いのでしょうか。今回は大学進学の助けになる「教育ローン」について、ご紹介します。母子家庭の強い味方「教育ローン」とはどのようなもの?
必死に働いていてもなかなか貯金が増えない、日々の暮らしを維持することがやっと、という母子家庭世帯の強い味方が「教育ローン」です。教育ローンとは、使い道を「教育」に限定したローンのことを指し、金融機関が個人を対象として行っています。民間の金融機関が扱うローンもあれば、公的機関が扱うローンもあります。子どもの高校進学、大学進学のために利用するケースが多いようです。
子どもを4年制大学に進学させたいと思った場合、4年を通して必要となる金額は、国立大学で約240万円、私立大学で約450万円と言われています。また、入学初年度は初年度納付金が必要となる上、自宅通学か下宿かでもかかる費用は異なります。
いずれにしろ安く済むものではなく、さまざまな助成制度を検討することになるでしょう。教育ローンはその中心となるものの1つです。ローンのため、当然ながら金利がつきます。それでは、具体的にどのような教育ローンがあるのかを確認しましょう。
教育ローンの内容・種類を知ろう
教育ローンは民間の金融機関でも扱われていますが、まずは「国の教育ローン」を検討することをおすすめします。民間のローンと比較して金利が低いなど、低所得者にとって利用しやすいためです。
国の教育ローンは「教育一般貸付」とも呼ばれます。国が、大学などに入学・在学する子どもの保護者に対し、入学・在学費用(入学金や学校納付金、授業料や通学費など)を貸し付けする制度です。最寄りの日本政策金融公庫、インターネットや郵送で1年中いつでも申し込むことができます。
子ども1人につき原則350万円まで利用できますが、1年分しか利用できず、自動更新はできません。そのため、2年以上利用したい場合はその都度申し込む必要があります。
また、申し込む際の条件の1つに、「子ども1人の場合世帯年収790万円まで」という上限があり、所得の下限は定められていません。審査は所得や勤務状況などの総合的な判断をもって行われます。
気になるローンの金利と返済期間ですが、金利は完済まで変動しない固定金利(年率1.76%)となっており、母子家庭の場合は金利がさらに低減されます。返済期間は15年以内(ひとり親世帯の場合は18年以内)で、教育ローンの中では比較的長期間です。
民間の教育ローンは、金融機関ごとに細かな名称や申し込み条件、限度額が異なります。1万円から融資を受けられる教育ローンもあれば、10万円から融資を受けられるものもあります。また、上限が100万円のローンや1,000万円のローンなど、バリエーションが非常に豊かです。
金利についても同様で、年率の下限が1.78%のものもあれば上限14.00%というものもあり、固定金利や変動金利などさまざまです。
なお、返済期間は7年や10年以内など、国の教育ローンと比較して短期間に設定されています。
奨学金などと組み合わせて利用しよう
教育への助成制度として、教育ローンと並ぶものに「奨学金」があります。教育ローンとの大きな違いは、対象者が保護者か子どもかという点です。教育ローンは保護者が借りるものであるのに対し、奨学金は子ども、つまり学生本人が借りるものです。
奨学金の代表的なものには、独立行政法人日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金制度があります。この奨学金と国の教育ローンは併用することも可能なため、検討してみると良いでしょう。
おわりに
母子家庭の場合、子どもの大学進学を目指すことは決して楽ではありません。文部科学省のデータによると、大学への進学率は両親がそろっている家庭と比較して半分以下の割合を示しています。しかし、教育を受ける権利はどのような家庭環境にあっても誰もが等しく持っているものです。子どもに高度な教育を受けさせてあげられるよう、国の教育ローンをはじめとするさまざまな助成制度を利用してはいかがでしょうか。

スタディ・タウン学び情報局 編集部

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